前にはなかった何かよ
僕は、愛情に飢えている。
素朴な愛の言葉が欲しい。
ハムレット、お前を好きだ!と大声で、きっぱり言ってくれる人がないものか。
ウィリアム・シャープの『水晶の森』を朗読するベルと、怪我をした足を引きずりながら歩く野獣。
魔女の呪いによってかつての美しさを失ってしまった庭を、二人は散歩していた。
Each branch, each twig
each blade of grass seems clad miraculously
with glass.
野獣は足を止め、辺りを見回す。
ベルもそれに倣い、野獣の視線の先を追う。
目の前には、枝まで霜に覆われた木々に、凍った湖が広がっている。
それはまるで、ガラスで出来ているかのように美しかった。
そう、美しいのだ。
ベルと一緒にいると、忌々しく感じていた魔女の呪いも、途端に姿を変えてしまう。
これは一体、どういうことなんだろう。
美女と野獣は夜の場面が多いから視聴する上でのリスクが高い。
そのリスクとは、ニヤニヤしている私の顔が液晶に反射して映り込んでしまうリスクだ。
偏光タイプで良かったとつくづく思う。
みなさんも、美女と野獣を観るときは、部屋を明るくしてテレビから離れて偏光タイプのディスプレイで観てね。
散歩のシーンでドキドキしている自分に気がつくと、僕ってラブロマンス好きなんだなと改めて認識させられる。
長い間、恋をしていない。
興味ない、二次元があれば良い、だなんて口では言っているけれど、果たして本音はどうなのかしら。
恋の予感が全くといってないから「どうなのかしら」のその先は正直いってないのだけれど。
いつか分かる日がやってくるはず。
とりあえず、今はそう信じて生きていくしかない。