Diaryの日記帳

映画、アニメの感想を中心に掲載します。

2019-01-01から1年間の記事一覧

さらば、わたしよ

要らなくなったところで次の私を探すんでしょう back number『助演女優症2』 「私」とは何なのか。 「私」はどこにいるのか。 それは『私は』と語るその人がいつも持っているように思えて、案外そうでもない。 現に、今ここで語っている「私」を、僕は持って…

紅茶とマドレーヌ

きみはこう思うことはないか、言葉になんて意味はない、とね 伊藤計劃『虐殺器官』 高校生の頃気になっていた名前も知らないあの娘に、同窓会で再会する。 偶然近くの席に座った僕は、彼女とのぎこちない会話の中で、小学校も同じだったという驚愕の事実を知…

前にはなかった何かよ

僕は、愛情に飢えている。 素朴な愛の言葉が欲しい。 ハムレット、お前を好きだ!と大声で、きっぱり言ってくれる人がないものか。 太宰治『新ハムレット』 ウィリアム・シャープの『水晶の森』を朗読するベルと、怪我をした足を引きずりながら歩く野獣。 魔…

見つけたよ。

誰かに見つけてもらえるって、すごくしあわせなことだね 幾原邦彦×高橋慶『輪るピングドラム』 「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」というアニメが泣けるらしい。 そのアニメの名を初めて聞いてから、随分と時が経ったように感じる。 まだ高1だった…

まだ ほんの17歳

馬鹿だな、おしまいじゃないよ。 むしろ、そこから始まるんだって賢治は言いたいんだ 幾原邦彦×高橋慶『輪るピングドラム』 とんとんと僕の机の隅を、誰かが指先で叩く。 ざわざわと僕の心が揺れる。 ゆっくりと顔を上げると、そこにいたのは予想した通りの…

ハハッ!

エリック・ホッファは港湾労働者でしたよ。 あなたの好きなフランツ・カフカは小役人だった。 職業に貴賎なし、と言いますが、同時に思索は職業を選ばないのです 伊藤計劃『虐殺器官』 あれはいつだったか。 確か小学生の頃の話だ。 僕は初めて東京に行くこ…

ひとりはみんなのために

One for all, All for one. アレクサンドル・デュマ『三銃士』 ※注意 この記事には、「天気の子」に関する重大なネタバレが含まれます。 わがままでもいいじゃないか。 僕らが普段気にしている周りと、これからどれだけ一緒にやっていくというのだ。 肩を並…

「ソロモンの偽証」感想

人間には物語が必要なのです。 血湧き、肉踊る物語がね。 伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』 僕は友達とラーメンをすすっていた。 話は仕事のことが中心だった。 お互いの状況報告がひと通り終わり、少し間が空く。 今だ、と僕は思った。 ずっと話したいことが…

「天気の子」感想

大した神経はあんたのほうさ、トァン。 俺は同僚としてのあんたを知っている。 いま世界中で起きている大混乱なんて気にしちゃいないさ。 伊藤計劃『<harmony/>』 僕は雨が好きだ。 傘に当たる雨の音は心地良いし、夜になると、コンクリートで出来た道路は巨大な鏡と化</harmony/>…

書かれるか、書かれないか、それが問題だ。

恐ろしかった。 自分が母を嫌っているのではないか、という可能性が。 女手ひとつで自分をここまで育て上げてくれた母を、自分が心のどこかで疎ましく思っているという、そのかすかな可能性が。 伊藤計劃『虐殺器官』 日記を書いていて、ふとあることに僕が…

死んだ後の話

別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。 花は毎年、必ず咲きます。 川端康成 僕が学生だった頃の話だ。 朝の教室で、こんなことを言う人がいた。 死んだらどうなるんだろう。 死んだ後の世界、気になるなあ。 ふーん、そう。 冷たく僕は答えた。 今で…

はじめまして、Diaryです

わたしって、じゅうぶん鋭いと思う...... 伊藤計劃『<harmony/>』 最近、色々な方から鈍感と言われるDiaryですこの度(ある方に影響を受けて)、ブログを開設いたしました。 その名も「Diaryの日記帳」何と馬鹿らしいタイトル。 映画やアニメ、小説の感想を中心に載っけ</harmony/>…