Diaryの日記帳

映画、アニメの感想を中心に掲載します。

まだ ほんの17歳

馬鹿だな、おしまいじゃないよ。
むしろ、そこから始まるんだって賢治は言いたいんだ

幾原邦彦×高橋慶『輪るピングドラム

とんとんと僕の机の隅を、誰かが指先で叩く。
ざわざわと僕の心が揺れる。
ゆっくりと顔を上げると、そこにいたのは予想した通りの人物だった。

この前のテスト、どうだった

もう話せないと思っていた。
友達ではなくなったと思っていた。
でも、こうして僕はまた、話しかけられている。

全然ダメだったよ

終わったはずの何かが、違う形で動き出す。
少し寂しくもあるけれど、何もなくなるよりかはいい。



屋根裏部屋をゆっくりと覗くと、そこには3人の男がいた。
コミカルなイントロと共に、老いた彼らに、若かりし頃の面影が重なる。
ソフィの父親かもしれない人たち。
その中には、一緒に人生を歩もうとした彼もいる。
感情を爆発させ、ドナは歌う。
力強く、扇状的に。


Look at me now, will I ever learn?
私を見て、この私 懲りてないの?

I don't know how but I suddenly lose control
どうしたの 急にドギマギして

There's a fire within my soul
心の奥で炎が燃え上がる


しわくちゃだし、声はガラガラ。
それでも、この曲を歌っている時のドナは誰よりも輝いている。
マンマ・ミーア!全編を通して、僕が一番好きな場面だ。

誰が父親か分からないまま子を宿し、産まれたソフィはもうすぐ結婚する。
この島で一人ホテルを経営し、貧しい中でどうにか食いつないできた。
そこまで壮絶な人生を僕は送っていないけど、映画館というエンパシーボックスの中で、僕の心はドナにデプロイされていた。
これから何かが起こる気がする。
それも、明るい何かが。
ドナと一緒に、僕の心も舞い上がる。



最近、マンマ・ミーア!の続編にあたる「マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー」を観た。

感想はこちら↓
https://philip-runner.hatenablog.com/entry/2019/09/23/193943

その時も思ったんだけど、この作品は映画が終わった後の、エンドクレジットも最高なんです。
なんというか、ひとことで例えるなら「夢の中の音楽祭」。
観れば分かると思うけれど、色々とありえないんです(特にヒア・ウィー・ゴーは)。
だから物語には絡んでこない。
でも、作品には密に絡んでいる。
涙腺が決壊するのは、全てが終わった後ってなんだか不思議。